- 雇用契約に配置転換について書かれていることが多く、拒否は難しい
- 交渉の余地はあるものの契約違反や最悪のケースは懲戒免職になることも
- 中途入社に多いケースで決められたポジションでの入社の場合は拒否できることもある
- 介護がある等の家庭の事情で拒否できるケースもある
- 異動の是非については交渉の余地はあるので、まずはそこから
4月と10月はどこの企業も人事異動が多い月です。
1ヶ月前にアナウンスされるのが一般的ですが、この時期になると「次は自分なのでは???」とビクビク怯えているような方もいるでしょう。人事異動はネガティブな意味合いばかりではないものの、「望んでない」と答える人が多いため、どうしてもマイナスなイメージがつきがちです。
また、基本的には人事異動は断れないために、なくなく転職をするという決断をする人も少なくないでしょう。せっかく会社のために頑張ってきたのに会社都合で転職せざる得ない状況なんて悲しいですよね。
今日はそんな人事異動を望んでない人のために、人事異動は拒否できる?なんてことをテーマにお話しをさせていただきます。
この記事の目次
人事異動を拒否することは難しい
はっきり言わせていただくと、どれだけ人事異動を望んでいなくても異動の辞令が出たら基本的には断れません。
会社側が一方的に解雇や大幅な減俸などをできないよう”雇用規制”がある上で労働者は守られていますが、反対に会社側には”人事権”として異動などの裁量は強くなっています。
就職でも転職でも、正式に入社するまえに雇用契約を結ぶでしょう。多くの場合、ここに労働規則として「業務の都合により、配置転換や転勤を命じることがある」なんてことが書かれています。
あえて大げさな表現をすると、雇用契約に同意しサインしたがゆえに今の社員というポジションがあるので、拒否することは契約違反になる訳です。
業務命令違反として”懲戒”として処理されてもおかしくない状況に追い込まれてしまいます。
とは言いつつ、「拒否したらクビになった!」なんてことは稀なケースなので、本当に嫌な場合は交渉の余地は少なからずあることも事実です。会社側からしても嫌々働かれるのも本望ではありませんから。
ただ、基本的には断れない。懲戒の対象となるうる。という点はしっかり抑えて置く必要があります。
異動を拒否できるケースもある!
異動を拒否して認められるケースももちろんあるので、熱くならずに自分はどのケースを適用できるか見定めましょう。
契約書の内容と異なる場合
上記で、契約の話しをさせていただきましたが、逆のパターンで契約にないが故に異動を拒否できるケースももちろんあります。
- 契約書に「業務の都合により、配置転換や転勤を命じることがある」なんて文言がない場合
- 決められたポジションや勤務地での募集で入社した場合(中途入社に多い)
契約書の内容や、転職時の募集用途等をもう1度確認をして、自分のわがままではなく契約上の異動は認められないことを指摘しましょう。
複雑な事情がある場合
- 転勤となると、家に介護が必要な両親の面倒を見る人がいなくなってしまう
- 子供が障害を抱えていて、かかり付けの病院や施設があるので、簡単に環境を変えることは難しい
等、社員や家族の生活に異動が大きな重荷になってしまう場合は拒否を交渉する余地はあります。
【育児・介護休業法26条】
事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、 その就業の場所の変更 により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育 又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
引用元:電子政府の総合窓口 e-Gov様より
法的な観点から見ても会社側が配慮するように述べられていますので、当てはまる人はあくまで「自分のわがままではない」「致し方ないこと」と伝えた上で交渉をするといいでしょう。
勘違いしないで欲しいのは会社も異動を嫌がらせのつもりで司令を出すわけではないので、こういった事情をしっかり伝えておくことが大事です。
仮に今後、異動の可能性がある場合はあらかじめプライベートな事情で難しいことを人事に相談をしておくと良いでしょう。
釘打ちではないですが、異動の司令がでてから断るというのは手間が増えますし、周囲からの視線も少なからず気になるはずです。
そういった業務以外のところで無駄なエネルギーを使わないようにするためにも、あらかじめ対策は練っておきましょう。
報復異動など、悪質な辞令な場合
どこの職場でも人間関係のトラブルがつきものですが、嫌がらせとして気に入らない部下を異動、言い換えれば左遷させるような行為があるのも確かです。
異動命令を出せる権利を持つ重役だとしても、こればかりは権利の乱用として許される行為ではありません。
明らかな場合は不当性も証明できますので、事実と認めてもらえるような証拠を集めて人事に相談してみるといいでしょう。
人事異動云々の前に明らかなパワハラ行為とも言えるので、異動拒否はもちろん”パワハラ”という方面から話しをしてみるのも1つの手ではないでしょうか?
そもそも会社が人事異動を行う目的とは?
なかなか人事異動そのものをポジティブな意味で捉える人は少ないですが、会社はなぜ人事異動を行うのでしょう?
社員である立場上、言われるがままに辞令に従っている方も多いですが、その意味にについてこの機会に知っておくのもいいかしれません。
昇進させるため
勤続年数が長くなったり実績を残したりすれば、出世・昇進の機会が与えられます。
しかし、今の部署で昇進させたいポジションが空いてない場合は異動をしてもらい、そこの部署で昇進してもらうようにするなんて上司の計らいであるケースだって存在します。
育成するため
今後のキャリアプランを踏まえ、1つのことだけではなく様々なことを経験して欲しいという企業の思いもあります。いずれ、上の立場になると、ガシガシ手を動かすというよりはマネジメント業務が必要になるでしょう。
1つのポジションではなく様々なポジションのことを理解した上で人を動かさなくてはならないので、社員の将来のことも考えての手段なのです。
適任の職へつかせるため
今よりも力を出せる場所があるのでは?と、会社都合ではないことだってあります。
自分で気づいてはいないものの、「この子はデスクワークより営業が向いてるな」「アイディアマンだから運用より、企画とか開発よりの仕事の方が向いてるかも」なんて、あなたを評価する上司は感じてくれているかもしれません。
企業としても、適任の人をポジションに配置できれば利益になりますから、本人が望んでなくても異動を命じるのです。
事業の都合
“売上が好ましくないので食品事業は縮小せざる得ない” 等、事業の都合上致し方ないこともあります。
企業としても事業が上手くいってないからそこの部署の人はクビ、なんてことはできないので、雇用を守るための手段として異動を行います。
人間関係のトラブル
これが以外にも多いのですが、同じ部署内での不倫、セクハラ等の理由で、当事者同士、被害者と加害者を引き離す手段として異動を命じるケースがあります。
事情にもよりますが、周りの社員が気を使ったり、うまくコミニケーションがとれない場合は会社にとっても不利益でしかないので、異動という手段で解決を計るのです。
【結論】人事異動を断ることはかなり厳しい
人事異動の拒否について、記事では詳しく説明していきましたがいかがだったでしょうか?
異動命令が出ても交渉の余地があったり契約や状況次第では断ることも可能ではあるものの、全員が全員そうとも限らず従わざるえない人が多いでしょう。
「異動を命じられたため」なんて理由で転職する人が多いように、どうしても異動をしたくないという人は、会社自体を変えるという方向でキャリアについて考えるのもいいかもしれません。
一般論や、読者様が置かれている状況にもよるので一概には言えないものの、異動を拒否することでその後会社にいることが気まずい、結果働きづらいなんてことになるリスクを考えると、頑なに拒否することはおすすめできません。
ではれば、キャリアアップのつもりで職場を変えててでも自分のやりたいポジションを目指すのが自分のためになるのではないでしょうか?
せっかく勤めた会社ですから揉めるような形でやめるより、暖かく円満退職で次のキャリアを目指して欲しいものです。
転職の成功率は以外に高いという記事も書いておりますが、“転職をしてよかった!” “満足している” 人は8割を超えます。
異動を命じられたため渋々転職を考えた、なんて場合でも、今よりもいい環境や条件で働けることだって十分に考えられるので、ポジティブに捉えて一方踏み出してみることはいかがでしょうか?
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