主人の働いている会社は、誰もが知る超大手のN社。まず潰れることはない、と言われる母体がとても大きな会社でした。
契約社員ではありますが10年働いており、1年前には無期雇用の切符も手に入れておりリストラはされることはない、ある意味安泰しているような状態で、会社の人間関係も悪くはないし、転職するのも年齢やご時世的に厳しいという思いもあり、辞めることは考えられないような状態が続いてここまできていました。
安定はしてるけど、、、
私もパートとして働いているし何とかなるかな、という気持ちも大きかったのもあります。前に勤めていた大手N社のメリッとしては、
- 有給を比較的自由
- 福利厚生が充実
- リストラの心配がない(無期雇用契約だったので簡単に解雇されない)
- 大手なので潰れる心配がない
デメリットとしては、
- 手取り20万前後で昇級はない
- ボーナスなし
- 昇給しても微々たる役職手当でコキ使われる
- ※主人の場合、SVでも+5000円の手当のみ
- 流れ作業でやりがいがない
といった感じでした。
正直、家族四人(主人、私、幼稚園児、幼児)では生活は本当にギリギリで私のパート代を足しても生活するのが精一杯な状態でした。
現在、長女が幼稚園に通っていますが来年は次女が幼稚園に通いだす、、、私の地域は私立幼稚園が一般的で公立幼稚園はなく、保育園も母親が正社員で働いていないと難しい地域でパートではまず入園は無理な地域なので、最初から選択肢にはありませんでした。
これからお金が更にたくさんかかるような中で、貯金が全くできないような状態が続いていることに危機感はずっと感じていました。
ただ、主人の転職活動を行うとなると仕事の並行して行わないといけないということで余暇が減ってしまうこと、プレッシャーや焦りによる精神的負担、そして何より上手くいく保証もないので特にそういった話を出したりはしませんでした。
そして、何よりも当時は主人自身が特に問題もなく仕事をしていて上司にも部下にも恵まれていたようなので、下の子が幼稚園に行ったら私が頑張って働けばいいかな…そうすれば貯金ができるようになるし後1年の辛抱!頑張ろう!とその時はそう考えて日々を過ごしていました。
突然訪れた転機と主人の変化
主人が部署移動して1か月くらいたった頃でしょうか、主人に少しずつ異変が出始めました。
この頃、社員への昇級試験があり既に4度目の挑戦で主人は妻子の為にもとかなり頑張っている状態でした。この社員採用試験は枠がかなり狭く、事業所全体で5%程度しか採用されない超難関な面接です。
東海の事業所でも数百人の中からまず採用試験を受ける切符を貰えるのが5人前後、そこから更に選考がり東海からの西日本のブロックに選出されるのが1人いるかどうか…といった、面接も4回以上あるものでした。
まるでオーディションのように勝ち上がらなくては社員の切符は手に入れることができず、何度受けても社員になることができずにそれが原因で辞めているく人も少なくないという状況でした。
そして、主人曰く「面接が上手く流暢に自分のことを話す事ができる人間が採用される」といった独島の採用基準の面接形式であったようで、元々面接自体が苦手な主人にはかなり厳しく困難を極めるものでした。
社員昇進試験へのチャレンジ
社員昇進試験の1週間前くらいから更に主人の様子はおかしくなり、話しかけても上の空で話に身が入っておらずほとんど笑わなくなりどんどん無表情になっていきました。
何かあったのか話しても
「何でもない」
と何も言ってくれず、業務後に必死に上司とその昇級試験の面談の練習を仕事後にしているようだったので、
「疲れてるのかな…ピリピリしているだろうしそっとして置いてあげよう」
とその時は一旦見守ることにして、それ以上は何も聞き出すことはしませんでした。
その後、社員昇進試験が間近になって面談の練習が佳境に入るにつれて更に主人は鬱のような思い悩むような暗い顔をして表情が暗くなっていきました。
吸わなかった煙草を頻繁に吸うようになり、家に帰ってきてもうつろな目で面談の練習をしたりしていて話しかけても自分の殻に閉じこもっているのか全く反応がない、かと思うと突然泣き出したりして感情のコントロールが不可能な状態でした。
「自分に自信がない、長所なんてない」
とブツブツ呟いて時々当たり散らしていたり、ぼんやりと何もせずに宙を見つめたままビールを飲んでいたりとまるで魂をどこかに置き忘れてきたような状態でした。
後に、主人が話してくれましたが面接の練習に付き合っている上司にパワハラにような扱いを受けていたのです。
地獄の面接練習
昇進試験の時には既に社員になっている上司に面接の練習をしてもらうのですが、主人は部署移動したばかりで新しい上司の人に面接練習をしてもらっていました。
その上司が主人と全くウマが合わず、上司もそれを感じていたのかどんどん主人の人格否定とも励ましともいえるような言葉を面接練習の最中に浴びせるようになりました。
- 「やる気が感じられない」
- 「何が言いたいのか分からない」
- 「そもそも社員に本当になりたいの?4回目でしょ?」
- 「そこ違う、そうじゃない」
主人も自分で考えられる限りを尽くしてしまったので、どこが悪いのか、どこをどう改善すればいいのかと尋ねて改善しようと努力しましたが、
「そこは自分で考えるところだから、明日までに考えてくるように」
と言われるだけだったようです。
主人の上司はただ、主人に考えて答えを見つけて欲しい、自分で考えて欲しいという部下への愛情だったのかもしれません。否定続きの言葉も、主人が嫌いで言っているのではなく愛の鞭のつもりで言ってたのかもしれません。
直接、私は主人の上司と話していないので真相は闇の中ですが…。
主人も何度も考えて頑張っていましたが、もともと面接自体が苦手な上に考えても考えても答えが出てこずに思い詰めて「自分はダメな人間だ」となってしまっていたようです。
精神的にギリギリな状態で追い詰められた状態であるのは私の目にも明らかでしたが、頑張っている主人に「昇進試験辞めたら?」とストレートに言う勇気はありませんでした。
不用意な言葉を投げかけて、ギリギリの精神状態を保って頑張っている人に向かってそのような言葉を言って壊れてしまう可能性があるのが怖かったのと、主人の性格から途中放棄は絶対しない人なので今このような言葉をかけてはいけないと思いとどまってじっと終わるまで最低限のサポートをしつつ見守ることにしました。
試験が一段落するまで待っみよう、昇進試験が終わったら転職の話をしてみよう、と決めて私はひそかにネットで転職に関しての情報リサーチを始めました。
結局、社員への昇進試験は通ることはないまま4回目の昇進試験へのチャレンジは終了しました。
試験後も変わらぬ状況
昇進試験まで、この状態が続いて主人は本当に無表情な顔のまま会社に出社するようになり、試験が終わっても一度壊れた上司との関係が復活することもなく、冷戦状態が半月続いていました。
元の部署の上司に相談して部署移動をお願いしたりして環境を変えてくれるようお願いしてはみましたが、「部署移動をしたばかりであるということ、そして急な部署移動は組織が大きいので難しい、努力してみるけど…」という回答でした。
できることは全てした、もう状況は変わらないから心を無にして頑張るしかない、という話を主人からされた時に私は主人に転職の話を遂に切り出しました。
第2話
第3話
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